2023-01-01から1年間の記事一覧

ひねもす 山歩き  ショートショート ⑦ ー オオミズアオ

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初夏、近場の低山でお花を撮り終え、薄暗くなりつつある沢筋の道を急いで下っていたら、瞳の隅に明るいエメラルドグリーンが一瞬走った。そのまま通り過ごしたものの、日ごとに色濃くなる新緑の樹林帯では明らかに異様な色。足を止め振り向くと、細い枯れ枝になにか…

晩秋の石見・三瓶山周回行 ― 行く秋を楽しんだ陽だまりの山旅 ―

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楓紅葉の中を室の内池へ続く、気持ちの良い笹道を行く 朝6時過ぎ、なんとか足元が見える頃合いを見計らって朝寒の東の原駐車場を出発する。 おおよそ百台は大丈夫だろうと思われるこの駐車場、雪の来ていない今はガラガラで、登山口すぐ右の観光リフトも二人掛け…

中九州・秋の一人旅  ― 久住・阿蘇に遊ぶ ―

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一面の芒ヶ原を扇ヶ鼻分岐へ 星生山稜線のギザギザが美しい お四国から近くて遠い、九州。 四辺が海に囲まれたお四国は、本州と橋でつながるまではフェリーで海を渡るのが定番だった。お若い方にはチンプンカンプンな宇高連絡船が懐かしい方もいらっしゃるだろう。 今…

ひねもす 山歩き ショートショート ⑥ - コウヤボウキ

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漢字で書くと、高野箒。 お花の名前に「箒」がつくなんて、なんとも変わった名前だなぁと。そうは思いませんか? お花自体は、枝の先にぽつんと一つだけ。 2㍉くらいの薄いピンクと白の少花の集合体みたいで、花冠の地が淡い薄紅色。 じっくり見ると、その薄紅…

ひねもす 山歩き ショートショート⑤ ー ノササゲ

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淡い黄色の小さな雪洞が空中にふわっと浮いて、風に揺れてる。 散策を終えて、車を止めた場所までノコノコ車道を帰っていたら、一風変わった景色に遭遇した。 はぁ? この白昼にキツネの嫁入り? そりゃ、もう秋の結婚シーズンだけど、化かされるにしては明るすぎるよ…

寒風から笹ヶ峰へ ― 笹南稜のプチ・バリエーションに遊ぶ

寒風山頂から石鎚方向の大雲海を望む ー 目ぼしいお山はお隠れになって、右隅にわずかに西黒森が覗く… 9月下旬、まだまだ夏の高気圧さんが強くて、なかなか涼しくならない中、快晴の予報につられ、このコースをお久しぶりでトレースした。まぁ、無雪期だし、計算も…

ひねもす 山歩き  ショートショート④ - ツチアケビ

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ツチアケビ(土木通)。 お山で出会う、葉緑素を持たない風変わりな植物としては、ギンリョウソウ(銀竜草)とともに双璧をなす植物でしょう。 本稿をお読み頂いている皆様も一度といわず、ご覧になっているのではないでしょうか。 なんでも、別名をヤマノカミノシャクジョウとい…

ひねもす 山歩き ショートショート③ ― ナツエビネ

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全国の里山から山野の落葉樹林帯が生育ゾーンとなっているエビネ属は、細身の花茎をすっくと伸ばし、総状に多数のお花をつけて凛々しい立姿だ。 それになんといっても、花もちがよいし、バリエーションも多くて、その変化がなかなか楽しい。 でも、そのほとんどは春開…

ひねもす 山歩き ショートショート② ー スズコウジュ

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このところ、お山は午後になると雷様がゴロゴロとお出ましになることが多い。 とある一日、時折、青空も覗いて今日はなんとか天気が持ちそうだと、ノコノコ出かけた。 じじいには今年の猛暑は体に堪え、耐えかねて…もある。 原生林帯に入れば、もう雷様はあまり関…

ひねもす 山歩き ショートショート① ー ヒナノウスツボ

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先日、東予地方のとあるお山に日帰りで登ってきた。 平地では晴れていたけれど、お山は良くなくて、ガスが走ったり、小雨が通ったり。 しっかり降ればそれなりに気持ちも締まるんだけど、体が濡れるか濡れないかの微妙なところ。 暑いので、雨具上下の着用は…

お花畑の北ア・針ノ木~七倉を行く (後編)

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遠く雲海に浮かぶ槍ヶ岳を眺めながら、蓮華の大下りを行く 10時前、下降開始。 延々と重なる岩屑の斜面にコマクサ群落が張り付いて、灰白色のモノトーンをバックにおぼろげなピンクが点々と浮かび上がる。 美しいのかな? あまり本邦では見られないであろう、絶景には間違…

お花畑の北ア・針ノ木~七倉を行く (前編)

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7月19日(水) 扇沢→針ノ木雪渓→針ノ木小屋 針ノ木雪渓の末端部 もう到底、雪渓を歩けるような状態ではなかった 早朝、ウイークデイということもあるか、まだほとんど人の列がない扇沢ステーションを横目に見つつ、自然歩道入口で届を提出。すぐ灌木帯の緩い登りが始ま…

剣山系・一ノ森&お亀岩焚火山行 -お久しぶりのお泊りも-

雨の多かったGWは、あまりお山には行けず。それでも3年ぶりに笹倉~冠岳を歩き、相変わらずのブッシュと倒木だらけの踏分け道に苦戦してきた。 齢、古希越えの身、いささか疲労も取れにくくなって、しばらく皿ヶ嶺で新緑の原生林とお花散策に時間を使って休養さ…

山笑う、南九州一人旅

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2022~23年の冬もウロウロと石鎚山系をさまよっていたけれど、じじいの旅の行き先はもう定番化していて、お読み頂いている皆様方には読み飽きたコースばかり。 で、リフレッシュと長年の酷使に耐えた膝の養生も兼ね、しばらくお休みさせて頂いた。 しかしながら、菜の花が…

天空の峯 UFOライン 自念子ノ頭に遊ぶ

自念子ノ頭山頂から石鎚山系のスカイラインを望む 紺碧の空が美しい 石鎚山系の主稜線を走るUFO(雄峰)ライン。 某自動車会社の宣伝に活用され、SNSでも「天空の道」としてUPされたけれど、正式には、高知県いの町の町道瓶ヶ森線。 もちろん冬季は閉鎖されるけど、スリ…