ひねもす 山歩き ショートショート ⑳  ― お皿雪見山歩 Ⅱ―

峠からの樹間道を抜けた、龍神平口で青空が広がる。霧氷輝く冬晴れ間は荘厳で、うれしい瞬間だ。

 11日(土)、今冬の最強寒波がやっと抜けた。 皿ヶ嶺(以下、「お皿」という)の稜線は真っ白、これだけ降ると果たして上はどうなっているか、興味津々で車を上林・湧水集落の鉄塔下へ。 ほぼ満車に近い路側帯になんとか駐車し、9:30おもむろに出立。

 今日は赤柴峠(あかしばのとう)から稜線沿いに山頂を周回するトレ・コースを取らず、水の元へ。 目的は久万高原町に抜ける林道上林河之内線の積雪量の把握。 瞽女石からヌタの元池への登りで林道を横断、すでにもう雪が…。 小1時間ほどで着いた水の元は15㎝、ほぼ登山靴の高さだった。 林道は、概ね5㎝くらいの軟らかい雪が続き、チェーンよりスタッドレスの方が効きそう。

概念図  ゆっくり歩いてお昼も食べて8時間ちょっとの周回だった。

 コースを八畳敷(ネットでは天狗の庭)にとる。 足跡はノーチェーンの二人分、お一人は女性のようだ。 山毛欅や欅、ハリギリ等の大木の並び立つ原生林は静謐の森。 玄冬を味わいながら行く。

お皿の北面はある意味、恐ろしいところだ。こういう巨岩が平然と座っていて、あぜんとなる。
岩抱きの欅も静かに眠る冬。知らない間に鹿よけネット?人よけかも? なにか守るべき植物でもあるのかしらん。

 11:00同林道から派生の工事中の林道を横切る。 くだんの足跡は上林トンネル方向にUターンしていた。 ここから上林峠を経由して久万高原町に抜ける峠道は、古い交易路で遺構も残る。 台風や豪雨等による損壊で通行止めとなっているが、今日はこの雪での現状確認が目的だから、誰も歩いていないけれどあえて通ることに。 ここでアイゼンを装着。

上林峠へ抜ける、昔の交易路入口(左側は白糸尾根方面へ延びる林道)。通行止め標識の先はバージンスノーだった。

歴史の証人である、崩れかけた石垣の残る場所も冬は結構、ヤバい道。滑ると下の林道まで行ってしまう。

途中にある馬頭観音様もこの雪でかまくら状態に。かつてこの場所で役馬が倒れたのかも…。

昨秋、遭難者が出た沢を渡った(3枚連続)。浮石に雪が乗ってステップは不安定。何回も踏み固めて通過。

ルートは中央最下部だが、一見、何でもないところに見えても雪で足元が緩く、滑る。油断がならない。

 お昼前、峠に到着。 ロープはいらないけれど、いやらしい道だった。 龍神平を目指し、進路を北北東へ、でも名物の階段はすっぽり雪に埋まっているわ。 爪で木道を傷めなくて幸いかも。 平に下る樹間道でアルミ製ワカンを付けた単独行のおじさんと遭遇、いやぁお皿で初めて見た。感動?はしないけど…。

いつもは風が吹き抜ける上林峠も今日は無風でいたって静か。道標類も雪化粧でいつもと違う?

階段道を行く。ここは常に難行の登りだけれど、笹雪を取り払いつつ、のんびり上がって、愉しい道に。

光さす階段道。冬山歩きの一瞬の光芒、これがあるから雪山はやめられないのかも?

龍神平へ樹間道を行く。誰も歩いてなくて、うれしいことに無風だった。時折、陽光も差し込んで儚い美しさ。

霧氷の競演というべきか、うっすらと光もあって素晴らしい、至福の時。
吸音されたというか、沈黙の霧氷の世界を行く。龍神平に近づくにつれ、晴れ間も。いいぞ。

樹間道を抜けて龍神平のはずれに。晴れ間が広がり、毎年少しづつ大きくなるハリギリの木も元気だ。

 13:00にアカネズミ?がかわゆく走り廻る愛大小屋で昼食。 水の元から来たという、3人連れの登山者と少しお話し。 通行止めゾーンの通過に時間を使ったので、早々に引き払って山頂へ。 試しに道を外してみると足の付け根までズブズブと。うれしい量や。

いつものツイン山毛欅、大雪で来春は水分一杯、嬉しそう? 今日は鎚は雲にお隠れで残念でした。

 山頂から稜線沿いに面白嶽(つらしろだけ)へ。 稜線は踏まれていて歩きやすい。 十字峠への下りは植林地を踏んでおり、植栽の檜苗を踏まないよう、登山道を軽ラッセルする。 15時前、面白嶽の急な下り、アイゼン後ろ爪のひっかけに注意しつつ、慎重に降る。

普段はかすんでしまう、道後平野もくっきりと。小富士やお城山が浮かび上がる。ムソグルスキーの庭も雪景色。

雪の造形。上越やアルプスではどこにでもある情景だけど、ここは南国、お皿だし。

スリーシーズンはお約束の休憩場所。冬は人もなく、山毛欅さんは手持無沙汰かな?

面白嶽の下りに入る。稜線道には珍しく、北面をほうふつとさせる、岩交じりの下りだ。

 途中からショートカットで久万側の林道に降り、引地山の登山口へ。 30分ほど歩いて林道引地山線の分岐(=登山口)に着いた。 いっとき、ネットで幻の池ともてはやされた?堀越池へ。 真っ白に雪化粧を期待したけど、まぁこんなもんかな。 堀越社は薄暗くお寒そうでした。

林道引地山線と引地山登山口の合流点。赤いテープは登山口のマーク、右奥へ進むと堀越池だ。

雪の堀越池。必要なほどは降らなかったのだろう、凍結はしていても真っ白ではなかった。

堀越社。窪野町の集落がお守りされているようで、植林帯の中に安置されている。

 時刻は16時前、もうここからは林道を下るだけ。鉄塔№152でチェーンスパイクに替え赤柴峠ルート経由で鉄塔下へ。 雪は同登山口手前まで残っていて、終日、楽しく遊んだ雪歩きだった。

鉄塔№152。ここで林道から離れる。奥に山桜の中堅木があり、春は美しい。

鉄塔下への帰り道、お皿の霧氷の稜線を遠望する。今日一日、愉しい雪山歩きだった。感謝。

 

 

ひねもす 山歩き ショートショート ⑲  ― お皿・雪見山歩 ―

上林湧水集落から見上げる、地雪と霧氷をまとった皿ヶ峰の稜線。一歩道を外れると北面は厳しいところだ。

 雪や! えぇ…、だれがなんと言おうと雪見、晴天だろうが雪曇だろうが関係ない。 南国お四国では、師走にこれだけの雪を見るのは稀で、そもそも、寒気が二週連続で押し寄せるなんて、ここしばらく記憶にないし…。

 が、この師走の大雪、北国の日本海側ではさぞかし…、謹んでお見舞い申し上げる。 まさに「天にても地にても雪の余るらし」(相生垣瓜人)が現実に、酸ヶ湯では早々と積雪が2mを超えたとか。 古来、「雪は豊年の瑞」といわれる、来年は豊作であれかしと願うばかりである。 誠に申し訳ないが、お四国ではスタッドレスの期間はほんの3か月ほど。「雪よ降れ降りてふんわり嵩になれ」(細身綾子)の方に妙に実感がわく。 

概念図

 冬の皿ヶ峰(俗称、「お皿」)は標高1,300mに満たない低山ながら、なかなか油断がならない。 アクセスが北面なので路面凍結によるスリップ事故があるし、狭い山道でコーナーもきつい。 速度オーバーだとハンドルを切っているのに車はまっすぐ谷へ…になる。 まだ、雪道の方が御しやすい。 ツルツル路面でスタックしたスタッドレスの軽四を砂をまいてなんとか下ろしたこともあった。 で、冬は無理せずトレーニングも兼ねて、上林湧水集落の路側帯(俗称、「鉄塔下」)に車を置いて登ることにしている。

 ベランダから眺めるお皿の稜線は、このところずっと霧氷がかかり、もうすっかり地雪に。 寒気吹き出しがほぼ一段落した今が頃合いとみて、9時半、鉄塔下に車を止めた。 今日は稜線にどんよりと雪雲、恐らく雪暗の山行になるだろう。 まずは不入社に安全祈願、パラパラと小雨が来て、お山は雪だ、元気で行って来いと言われたような?。

水の元 夏は水汲みでにぎわうのがウソのような静けさだった。

 11時前、水の元はうっすら雪化粧もまだ斑ら、でも風穴と上林トンネルとの分岐は既に白銀の世界だった。 路面にタイヤ跡はなく、久万側に越えた車はなさそうだ。

さてこれは何の足跡でしょう…?  答えはネズミ。でもアカネズミかヒメネズミかはわかりません💦

 サクサクと心地よい音を聞きながら、誰も歩いていない遊歩道伝いに北面を巻く夏道へ。

(左)遊歩道を行く、誰も歩いていなかった。(右)夏は避暑がてら、この岩の上でコーヒーブレイクしている。

 合流して足跡が、本日歩いた人のあるらしと思いつつ、稜線への近道を選択。 雪に夏靴が軽く沈むパウダースノーを楽しむ。 

雪の点描 ①  茶褐色の枯葉が残っているのは珍しいと…

 30分弱で稜線に出た。 細雪か細かい霰か、微妙な粒が風に乗って舞ってくる。

さて、進むべき道は右左のどちらでしょう。よ~く雪面をご覧ください。    (答えは左です。)

 積雪3~40㎝、視界は10mくらいかなぁ、樹間を薄いガスが風に流されてゆく白夢幻の世界。

雪の点描 ②  茫漠とした、白と濃い茶褐色だけの、夢のようなモノトーンの世界を行く。

 温度計は氷点下ギリギリで思ったより暖かいけど、汗もかかないわ。 アンダーにミッドシェル+夏用ウインドジャケットの3枚でも動いていれば寒くはないけど、時折吹上風が体を叩き、う~耳さんは冷たいなぁとぼやいている。

雪の点描 ③  いつも吹上風が吹いていて、夏によく涼ませてもらう憩いの場も今は雪景色。

 今秋、久万側の檜林が皆伐されて風の通りが格段に良くなってしまい、こうなると吹きっさらしだわと思う。 良いことは二つはなし、まぁこんなもんでしょう。

吹きっさらしで写真まで寒そう。いや、実際、耳さんは痛いと怒ってました。

 皆伐後に檜が植林されて2年のムソグルスキーの庭(仮称)は、カラマツ林に霧氷がついて目には綺麗だけど、いかんせん青空は望むべくもなく、雪暗ではカメラ映りはよろしくない。 むべなるかなと思いつつ、お皿では稀な吹き溜まりをいと珍しげに眺めつつ通過。

いやぁ珍しい。お皿にもできるんだとちょっと驚いた、柔らかそうな吹き溜まり。まさに冬そのもの。

 12時半、無人の山頂に。 風もなくうつろな静寂が支配していて、これはよろしい。 ふっと金子みすゞの「雪」が浮かぶ。 ふかくふかく音もなく…。 でも、なんでこんなところで思い出すんだろう、青い鳥なんてどこにもいないのに。

檜林が防風林役を務め、風のない静かな山頂。 昨日生まれた雪だるまさんも雪のガウンが暖ったかそう。

 ほぼ漆黒と白の世界を龍神平に向けて下る。 雪をまとった山毛欅の古木にはっとさせられる。 彼らは冬にこそと存在を強くアピールしているようだ。

春の新緑、夏の青葉、秋の黄葉と通年、楽しませて頂く、このお山の名物ツイン山毛欅も今は静かに眠る。

 秋にブナシメジ(天然物は珍しい)とブナハリタケのあった倒木の急な坂だけちょっと慎重に通過、すぐたおやかな平原が見えてきた。

(左)晩秋に山毛欅倒木に生えた天然のブナシメジと奥にブナハリタケ (右)龍神平まであと少しだ。

 龍神様はお社まで雪帽子でお寒そう、愛大山岳会龍神平小屋もなかなか良い眺めに。

龍神様も今年の寒波はお寒そうでした。(右)シンメトリーなふんわり雪の積もる愛大小屋

 13時、小屋で少し遅目の昼食。 お皿で雪を溶かしてブラックコーヒーなんて、かつてあったかしらんと思いつつ、温かくて美味しくいただいた。 本格アイゼンを装着しに入ってきた単独行の40代くらいの男性と少し話す、山頂までいくらしい。

雪の龍神平と愛大小屋。ほぼ無風もさらさらと粉雪が舞ってました。

 1時間ものんびりして体が冷えてきたので、おもむろに下山を開始。 ゴジラ赤松(仮称)は相変わらず元気、北面を巻いてゆく道を坦々と下る。

勝手にゴジラ赤松と名前を付けている、結構な大木の松。

 結構、踏み固められていて、昨日の日曜日は登山者が多かったのだろう。 今はそのうえに今日降った淡雪がのって足跡をうっすら隠している。

おらぁ、ちゃんと生きてるぞ と主張している、皆様ご存知のナンジャモンジャ山毛欅。オーラを感じませんか?

 道々で、この時期ならではの風情と自然の造形を楽しみながら歩かせてもらった。

普段はみんな注目もしない巨岩も雪が付くと存在感が… と 墨絵のようなハウチワカエデの霧氷
オブジェのような山毛欅 と 荒々しさを見せる北面の崖、これがお皿の本性です。
倒壊したミズナラの巨木。年輪は200まではかずえましたが…。 (右)雪のトトロさん、さてどこにいるでしょう?

雪の点描 ④ 風穴から雪をかぶった岩塊斜面を見上げる。夏季の苔緑一色よりも美しいと思いませんか?

 チェーンスパイクは結局使わず、ザックの中で泣いてたみたいだけど、まぁ勘弁。 雪の感触をこの低山でたっぷり味わえるなんて、ほんに嬉しいお山だった。

夕日に輝く上林集落と東温市街。雪のない世界に降りてきました。

 

二股から冠山へ  ― ローテーション構築も、ちと不可解なミニバリエーションに ―

降り積もった落葉の中を行く ここはハウチワカエデが多く、その嵩高は5㎝を優に超えてるだろう。

 このところ、お山は、あまり天候に恵まれない。 どうも霧雫行から後は、お天気坊やに見放されたかなぁ。 今日も時折、晴れ間がのぞくだけの雲量9。 でも、予報では降らない見込みだったので、出かけてきた。

概念図

 ずっと気になっていた、伊予・土佐国境に位置する冠山(1,732m)から南に延びる稜線(以下、「南尾根」と仮称)。 途中の1,617m独立標高点から高知県側林道足谷線に下った軌跡があるのは確認していた。 高藪登山口から平家平→冠山とつなぐ綺麗なローテーション・ルート、道は恐らくは踏分道レベルだろうけど…。 でも、そこから逆方向の西に延びる尾根(以下、「西尾根」と仮称)を下れれば、もう一つのローテーション、二股登山口からの大回転ができる。 地形図上の問題点はただ一つ、崖である。 冠山周辺は多いし、直下と1,617m独立標高点を過ぎた先の西側急斜面もそうだろう。 が、あとは緩傾斜の明瞭な尾根筋、稜線さえ外さなければイージーだし、多少の笹ブッシュもないとつまらない。 う~、ブッシュマンの血が騒ぐ。

道すがらの紅葉、黄葉。もう茶枯れ落葉寸前だった。

 朝8時過ぎ、二股・一の谷橋登山口を出発。 昨晩は雨だったらしく、橋の上には水たまりが…。 

登山口。道標を右に降りて一の谷橋の下をくぐる、ややこしい入口だ。

 一の谷分岐まで標高差約500mの登り、最初は小沢沿いに進み、すぐジグザグかつ緩傾斜の続く登山道に変化。 昔通りの歩きやすい、楽しい道のりだ。 ここも紅(黄)葉の名所、ハウチワカエデやシロモジ、クヌギ等々の彩りを味わいつつ、落葉の絨毯を踏みしめて行く。 茶色に変わるギリギリのところで踏みとどまった、最後の一瞬の輝き。 晩秋の山歩きの醍醐味といえよう。

降り積もる落葉は場所を選ばず。苔むした岩の上、登山道も深い秋に。

ゆく秋が最後の輝きを放つ。このコースはハウチワカエデが多く、ミネカエデはほとんどない。

 小1時間ほどで1,400mを越える、このあたりはもう蕭条たる風景だ。 葉を落とし切った梢の間からガスの白帽子をかぶった冠山が遠くに覗く。 青空も垣間見えて、ようし、いいぞ と気合を入れる。

梢越しに雪のような白い帽子をかぶった冠山ピークを遠望する。だいぶ登ってきた。

 1,550m地点のちょっとナルになっている、いつもの休憩ポイントで一服。 静寂の空間に小沢源流の沢音がかすかに響いてきて、心地よい。 テントを張れそうな平坦地がいたるところにあって、風の懸念はほぼなく、水もある、お泊りには理想的な場所。 ないのは展望だけで、ずっと一度泊ってみたいと思いつつ、実現していない。 青葉若葉や紅葉の頃は最高だろうに。

ソロ・キャンプに最適なほぼ平坦な空間。小沢の源流はこの右手10mほどだ。

 10時前、一の谷分岐に着く。 青空も雲もという天気で、やっと今日トレース予定の冠山からの稜線を明瞭に望むことができた。 ここからはナスビ平への下降路(現在は崩落で通行禁止)のある一の谷越までずっと下りだ。

(左)登ってきた道を振り返る。(右)ガスかかる冠山と南尾根の稜線・遠望

 時折、ちち山の別れ方面の一面の笹っぱらを振り返りながら快調に進む。 15分程でもう字も定かでない一の谷越の道標を過ぎ、いよいよ冠山への登り、といっても緩い傾斜の一本道。

(左)ちち山・前衛峰と遠くガスかかる笹ヶ峰の稜線  (右)一の谷越、ナスビ平は右に下る。

 ちょっとガスって来たなぁと思っていたら、その中からお若い4人組が…。 この日会ったのはこの人達だけ、ちょっぴり元気のおすそ分けを頂戴して山頂を目指した。

だいぶ冠山ピーク(右奥)が近づいてきた。あともう少しだ。

 分岐から丁度50分で冠山に、最後の急登は何回来ても息が切れるけど短いから…。 流れるガスの間から平家平のピークがのぞき、反対側の笹ヶ峰はずっとガスがかかったまま。 ちち山も前衛峰しか望めない。

冠山山頂からガスの合間をぬって一瞬、平家平が現れた。ここから40分程、すぐ近くだ。
冠山山頂。この奥にいつもお昼に使う岩場がある。(右)その岩場からちち山、笹ヶ峰方面を望む。

 山頂直下の岩場まで1分、天気は下り坂やなぁと独り言ちながら、お昼にカップラーメンを啜り、ブラックコーヒーを頂いて、ひととき我一人の絶景の岩場でくつろぐ。 寒くはないけど、じんわりと来るマグの温かさがうれしい。

岩場からこれから行く南尾根(仮称)と右に下る西尾根(仮称)を一望する。さあ、これからが本番や。

 だんだん空模様が怪しくなってきたので、そうそうのんびりもできず、40分程で山頂を後にする。 少し平家平方面へ歩を進めて、南尾根への下降点を探る。 鹿道が縦横に走っているのを使わせてもらって、崖と崖の切れ目から灌木伝いに下った。

(左)下り中途の冠山の崖群 (右)その全景、すっぱり切れていて、見事な造形だ。

 下は典型的な岩塊斜面。 崖から落ちてきて、今は苔むした石ころで一杯だった。 下から見上げる冠山の岩峰群はなかなかの壮観で、高さは20mを超えるかも…こりゃ安易に下ると怪我するわと舌を巻く。

岩塊斜面を少し下ると、地滑りで生じたと思われる窪地に。ぽっかりメルヘンチックな空間が…。

 降り立った地滑り跡の窪みから小さな丘をこえたら、膝下までの笹原が続く広く緩い下りだった。

踏分道を下りながら冠山山頂を振り返る。 右は平家平の遠望

 新芽を鹿が食い荒らし、笹は枯れ始めていて、そこかしこに糞が…。恐らく食事場所なんだろう、人目はないし、自分のような者しか通らないから彼らにとっては安全なんだ。 進むにつれて、ピユイーという鹿の警戒の鳴き声が響く。 そろそろ手を打たないと南予の三本杭のような惨状になるぞと思うけど、如何とも…。

鹿に新芽を食べられて枯れ始めた笹 と その糞 右は幹をかじられ、青息吐息のリョウブ

 平家平を目の片隅に置きつつ踏分道を下る。 鹿等の獣道とは全く違うので、この時点では、てっきり高藪登山口のある林道足谷線に下る道を歩いているな…程度に思っていた。

まず南尾根の1,617mピークに行くため、その前衛峰を越える。雲行きがちょっと怪しく…。

 13時半前に1,617mピークを越える。 山頂から1時間弱と思ったより時間を喰ったのは、山頂直下の下りとこのピークまでの稜線の岩場を巻くのに手間取ったためだ。

1,617mピーク手前の岩場、乗り越えは無理で左側に巻かざるを得なかった。右は笹の中にくっきりと踏分道が…。

梢の先にある、小ピークが1,617mピーク。テープ類は全くないが、依然、踏分道は続く。

 少し先に進んで西尾根へ入る傾斜の緩い所を探す。 踏分道はずっと続き、途中、南尾根の東側に下る道(らしきもの)があった。 ははぁ、ここから林道足谷線目がけて降りたんやなと思いつつなおも進み、10分程で手頃な空き地(おそらく地が滑った場所)を見つけ、そこから西尾根に入った。 ここで初めて、ちょっと変やなと思う。 その理由は、ここまで赤テープ等の類が全くなかったこと。 でも、あの踏分道はどう見ても二足歩行の人が歩いた標。 動物の使う獣道ではあの幅にはならない。

地が滑ってできたと思われる空地。ここから西尾根へ入った。右は途中にあった、かなり古い猪の寝床。

 下り始めてしばらくは、腰くらいと膝くらいの高さの笹が交互に現れて、樹間の視界も良く順調に下る。 順調な訳は明快で、実は驚いたことに、西尾根にもずっと踏分道が続いていた。 倒木や折れた枝等でところどころ巻いたけれど、多分、このあたりと見当をつけて振るとまた出くわした。 でも赤テープ等のマーキングは全くない。

(左)最初はまぁまぁ腰くらいの笹ブッシュも(右)下るにつれて、だんだん胸辺りまでその背丈が…。

 う~むと思いつつ下っていたら1,400m~1,300mの間で背丈ほどの猛烈な笹ブッシュ帯に出くわし、倒木等もあって不覚にも一時的に道を見失ってしまった。 おまけにパラパラと雨粒まで落ちてきて、踏んだり蹴ったりに。 30分程で強行突破した時には、雨はやみ、笹のほとんどない広々とした草原状に変化。 ずぶぬれ回避とともに、また踏分道が現れ、散り残りの紅葉もちらほらと散見されるように…。

2m近い高さの笹ブッシュを抜けたら、天国のような場所に。あのブッシュはいったい何だったんだろう。

 しばしの休憩後、錦繍の秋の名残を愛でつつ、歩を進めさせてもらった。 もうここまで下れば楽勝やと安心していたら、最後の最後でどんでん返しが待っていた。

黄金の山毛欅ならぬ、黄金のシロモジの黄葉。茶一色の中で光彩を放っていた。
散る寸前のハウチワカエデの赤 と 道すがらの紅葉群。青空でないのが口惜しい。

 1,200m付近で檜の植林帯に入る。 もう杣道があるはずやと捜したら、あったのは下刈りされた倒木群の間の細い急なクネクネ道。 15~20㎝くらいの高さで笹や小灌木類が草刈り機で刈り払われ、針山状態といえばいいか。 切り倒したまま放置の荒っぽさで、滑る滑る。 転倒するとこりゃ大怪我になるぞと一気にピッチが落ちる。 刈り払いの手頃な灌木をへし折って杖に代用し、この標高差50mくらいに30分を費やして、慎重に下りきった。 林道上に立ったのは15時過ぎ。 植林帯で予定外の時間を喰って想定タイムをオーバーしてしまったけれど、アクシデント回避を幸いとしないと…。 

最後のどんでん返しになった、檜植林帯。道とは言えないくらいひどかった。

 それにしてもあの踏分道はいったい、なんなんだろう。 森林管理署関係なら冠山の山頂近くまで道が続いているのはおかしいし、昔は一の谷越ルートとは別に直接、冠山にアクセスする道があったのだろうか、ならば古い赤布の一つもあってしかるべきだし…とつらつら考えながら、林道寒風大座礼西線を走る。 どうやら舗装が長又橋あたりまで延長されるようで、道端に点々と舗装用資材のでっかい麻袋が置かれていたけど、結局、思案投げ首状態で、謎の踏分道は結論が出ないままだ。

下り中途、美しい笹原の続く平家平を望む。

 

ひねもす 山歩き ショートショート ⑱  ― 霧雫を行く ―

山毛欅林が茫漠と霧に浮かび上がり、色がないようでしっかりあって、晴天とは異なった趣がある。

 分け入っても…々、どこまで行ってもセピア色。 石鎚スカイラインの休憩ポイント、長尾尾根展望台(標高1,200m)までは、青空も垣間見えて、御来光の滝もくっきり蒼翠の森に浮かんでいたのに。 終点の土小屋までの標高差約300mでいつの間にやら霧(ガス)の中に。 月曜日(休日ではないというに、朝八時過ぎでもう駐車場は満杯だ。 紅葉が10日ほど遅れている影響もあるようで、10月三連休明けからやっと少し色づき始めたのかな? 

 でも今日は、紅葉も人も…の石鎚方面には行かず、真逆の方向へ。 ほぼ人影のないゾーンで、のんびり黄(紅)葉を愛でながら散策する…はずだった。 しぐれてはいない。 でも霧が土佐側から次から次と流れ、森の中はもう霧雫に。 幹も枝も路も濡れそぼって、上下雨具のとほほの山歩き。 えぇ、山頭火もじりで  “霧雫(しぐるる)や霧雫の(しぐるる)山へ歩み入る” で行くか。

蔦漆の紅葉 左は、ほぼ赤色に近づきつつあって苔翠との対比が美しい。右はまだまだこれから…

 登山口から続く、ウラジロモミと笹の疎林を抜けるとすぐの水場で1㍑充填。 美味い…、ふっと息をつく。 山毛欅、ハリギリ、ミネカエデやオオカメノキ等の生い茂る、山腹の石畳道を巻いてゆく。 多分、あるだろうと心待ちにしていたものはすぐに。

石畳路に敷き詰められた、錦繍のじゅうたん。やはり秋はこうでなくちゃ。

 “地に敷けば紅葉明かりをそこに置く” (汀子) 恐らくこの句では、紅葉であって黄葉ではないんでしょうね、明かりはやや薄暗い空間でこそ生きるし、黄色では難しいでしょうから…。 雫に濡れそぼっても、苔の上に座ってゆったりと眺めていたい情景で、こういう出会いがあるからお山は止められない。

苔むした岩に降り積もった、赤、黄、橙色の落葉たち。う~、多少、作為的ではありますが…。

 

 古来、紅葉といえば、楓にきのこはいわば定番の相棒。 でも、句集を読むと「茸」と「菌」が出てきて、素人の悲しさ、違いが判らない。 ところが、山本健吉を読んでいて、はたとその記述に行き当たった。 『 改正月令博物筌の記述中、「くさびら(=きのこ)」のうち、茸の字は笠なきものをいい、菌の字は笠あるものをいう 』とある。 とすると、今日の “くさびら” は、両方あるということか。 

(左)恐らくサンゴハリタケと思われる、真っ白な茸(右)ムキタケかヒラタケだと思う。裂いてみて根元に黒い染みがなくツキヨタケではなさそう。
(左)御存知、デストロイング・エンジェルことドクツルタケ、猛毒です。(右)うー、恐らくタヌキノチャブクロではないかと。

 

 別に紅の紅葉はここで見れなくてもいい。 小さい秋はそこかしこにあって、その場所だからこそ映えるものだから…。

霧の中に一点、紅を点じて気を吐いていた、ヤマシグレ。黒い実とのコントラストがいい。

 でも本当は “黄金に輝く山毛欅” を味わいたかった。 今年はもはや茶枯れ、かすかに黄色の残る落葉が散らばっているだけだ。

茶色に変色した山毛欅の落葉。期待した黄金の…は、なれの果て だけでした。来年こそは…。

 本来は、赤や黄色に色づくはずのオオカメノキやシロモジも緑色からいきなり黄茶色に変色していて、はぁ~、猛暑の後はいきなりこの色でしたか。 この状態では、恒例の面河裏参道の山毛欅街道歩きはもう諦めないといけないなぁと、ついため息が交じる…。

(左)もう暗茶色に変色したオオカメノキ (右)まだ鮮やかな黄色を若干残すシロモジ。おんなじ黄色でも微妙に色が…。

 

 サクサク、シャクシャクと落ち葉を踏む足音だけが響く。 道すがら、蔦漆の赤や橙が点々と霧の中から現れ、霧の中に消えてゆく。

手箱越に近づくにつれ、路の落葉は黄と茶色一辺倒に。晴れていればふかふかの絨毯だけど…。

 やや薄暗い縦走路には、苔や笹の緑を下地に黄色が鮮やかに浮かび上がって、時折、はっとさせてくれるくらい。

笹に浮かぶ虎杖も苔に張り付いた蔦漆も鮮やかな黄色だ。

 ボトッ、ボトッと雫がフードをたたき、濡れた落葉路のシャクシャクがジャクジャクと濁音にも変わる。

霧の中の道行きは、気を付けないと時にモンスターがうしろに…隠れているかも?

 う~ん、でもセピア色の森の中を一人、淡々と行くのは割と嫌いじゃない。 物悲しいったらないじゃないかと言われればそうだけど、生きてきた道のりと結構、親和してるし、誰しも、そうやって歩いてこられた(る)んでしょうし…。 

更紗満天星の枝には雫がまとわりつき、ヤリノホゴケも霧に囲まれて生き生きとしている。

 

 道場の城塞のような石垣を過ぎると、ハウチワカエデやナンゴクミネカエデの薄橙色がお出迎えだ。

縦走路脇のハウチワカエデの大木。風を避けれる斜面で一直線に伸び、清々しい。

 そこかしこに樹齢いくとせになるんだろう、苔生した古木の範疇に入る楓類が現れる。 青空バックに拝見したかったけど、霧に浮かぶ姿も風情があって、まんざら捨てたもんじゃないねと伝えておく。

手箱への稜線は、本当にハウチワカエデが多い。本来快適な路なんだけど、今日は吹上風が強くて寒かった。
流れる霧の中に浮かび上がるハウチワカエデの古木 と 鮮やかな橙色のナンゴクミネカエデ

 思うに、微妙に時期が早かったのかもしれない。 帰路の歩を進めながら、己よりずっと長生きしてる木々達から、紅葉にはもうちょっとだけ時を頂戴よと言われたような気がした。

最後は、ミヤマモミジイチゴの赤い実 と シシウドの枯れ穂。ともに白秋から玄冬への一里塚だ。



加賀・白山  ― 南竜ヶ馬場天泊で秋をじっくりと楽しむ ―

トンビ岩コースの中途にあった大岩の燃えるような紅葉とナナカマドの赤い実のコラボ。ここだけの錦繍の秋。

 荒島岳同様、白山も例の大雨で共にボツに、かえすがえすも悔やまれるがもはや…。 今回も本当は加賀、越前、美濃と3本ある禅定道のどれかをじっくり歩きたかった。 2016年に歩いた大峰奥駆道(4泊5日)でもこうでなくちゃと思ったけれど、最高点の八経ヶ岳大峰山だけピンポイントで往復しても本当の良さはわからない。 プレリュードが大事で、そこまで持ってゆく過程の山々がいろんな隠し味を出してくれ、それが歩きごたえに結び付く。 けれど、じじいにはもはや老練はあっても肝心の体力が残ってない。 で、今回は仕方なく、別当出合から砂防新道という、最も簡便な一般道に。 まぁ、南竜ヶ馬場にテントを張って、一泊したのがせめてもの抵抗かなぁ。

概念図

(第1日)

 朝5時半、人影もまばらな別当出合登山口をスタート、標高1,300mとすでに荒島岳8合目だ。天気はまあまあ、降ることはないだろう。 鳥居で一礼するとすぐつり橋を渡る。 畑薙大吊橋と違って、つくりが上等でほとんど揺れない。

登山口の別当出合 と その先のつり橋、静かな山行のスタートだ。

 まずは広くて単調な石ざれ道をじっと我慢で登る。 50分ほどでトイレがあるだけの中飯場着、殺風景な広場で、ほとんど水量のない不動滝が見える。 甚之助避難小屋まで似たような道をたどる。 途中、手取層群のれき岩やひっそりセンジュガンピ(白ナデシコ)が咲いていたりと単調な歩きに彩を添えてくれる。 県設置の道標は標高がきちんと入っていて、親切環境省のそれは×だけど)だ。

標高入りの道標は登山者にとって有難い。とその礫岩、よく見ると小石が一杯だ。

うっかり見落とすところだったセンジュガンピ、マンテマ属は美しいお花が多い。

 7:45、ほぼコースタイムどおりに避難小屋に着き、泊装備でこれなら大丈夫やなと一安心。 恒例で内部をチェック、よく使いこまれ、泊禁止でも結構、泊っている方はいるんだろう。 標高も2,000m近く、もう周囲は広葉灌木帯だ。 10分程行動食休憩しつつ、ふと周囲を見ると、登山者がぐんと増えていた。 一体どこから湧いてくるんだろう?ほとんどは軽装の日帰り装備だけど。

甚之助避難小屋の外観とその内部、立派な小屋で避難小屋と思えず。知らぬうちに登山者が湧くように。

休憩したベンチの後ろで隠れるようにひっそり佇んでいた、オヤマボクチと思われる個体。

 ジグザグ道を20分程で南竜ヶ馬場への分岐に着く。 大正時代施工の谷土止め工事が登録有形文化財という、文化庁の銅銘板がある。火山だからどこでもすぐ崩れるし、昔から人々を悩ましてきたんだろうね。 

登録有形文化財の銘板とその説明。右は南竜分岐からうっすら紅葉の中、甚之助避難小屋を望む。

 そのまま南竜道に入ると、うら若い女の子が一人ついてくるので、行き先を確認して戻ってもらう。 道を自分でチェックしないこの手の輩は最近、多い。 途中、道をぐるっと迂回するような石組みがあってかつて何か建造物?でもあったのだろうか。

登山道の横に出っ張って石が組まれているけど、よくわからなかった。

 道が木道になってすぐ南竜山荘、天場は小沢を渡った右の高台だった。 手続きをしてテントを設営し、サブザックに雨具、食料等を放り込んで10時、トンビ岩コース→室堂平で出発。 すっかり晴れ渡って良い天気だ。

本日のお宿、セットアップ完了です。中は無茶苦茶だけど(秘密だよ~)。

 標高差400m、等高線が混んでいる前半が勝負とみて、気合を入れる。 ナナカマドの赤い実が目立つけど、紅葉はさっぱり。 猛暑の影響?がここにも出ているか。 そこそこ夏のお花の残滓と、一方で秋を告げる果実もあるジグザグ道を気持ちよく登らせてもらった。 

早速、現れたアオノツガザクラ と まだ残っていたミヤマキンバイの黄色系の二つのお花
秋の高山のおいしい味覚、クロマメノキ(アサマブドウ)の黒紫の実 と 一点紅のマユミの実。秋ですねぇ。

 このルート、きついけどなかなか味もあって、楽しめる。 3/4を過ぎたあたりから平坦になって室堂平の末端に到着、トンビ岩が左手に現れた。 まぁ見ようによってはそう見えるかも…という感じ。

御前峰への稜線をバックに、ハイマツに囲まれたトンビ岩。亀さんの口みたいにも見える。
群生していたシラタマノキ(別名シロモノ)とゴゼンタチバナの赤い実、紅白そろい踏み です。

 活火山だけあって、いろいろ形のユニークな岩(巨岩)があって、ちょっと面白いので、撮り溜めていくことにする。

まず、第1号の巨岩。ただでかいだけで写真撮ってもらえるなんて、あんた幸せだよ。

 11時半、室堂のベンチを抜けると、南竜分岐まで一緒だったご夫婦から声が…、山頂から降りてきて昼食中だった。あれぇと、またよもやま話に。 お昼は上で摂ることにして鳥居で一礼し、登拝道へ。 

御前峰をバックに室堂平の白山比咩神社。お社の右側を抜けてゆく。

 なだらかだけど標高差は250m、頭ほどもある石だらけの道やら整備された道やら、いろいろある這松の中を行く。

登り中途から室堂を望む。こう見ると建物多いわ。 点々と咲いていたイワギキョウ、清楚なお花だ。

 約1時間で白山比咩(しらやまひめ)神社奥宮に。 御前峰の山頂標識と一等三角点があるだけの簡素な頂はすっきりしていて気に入りました。  でも、おなかがすいてヘロヘロ。 お昼を過ぎて高山特有のガスが走り始めたけど、風陰に座ってのんびりお昼をいただく。 

走り始めたガスが流れる中、佇む御前峰山頂標識。手前の一等三角点ともども昔通りの花崗岩だ。

 13時、お池めぐりに出発。 正面に剣ヶ峰を見ながら、急傾斜のガラ場を下り、水たまりに近い油ヶ池と緑の紺屋ヶ池へ。 山屋なので、池より剣ヶ峰、登路を探りましたが、あれはいけません。 一触即発どこが崩れるかわからない、登山禁止もむべなるかな でした。

下り中途、剣ヶ峰と紺屋ヶ池を望む。ボロボロのお山だった。(右)同じく流麗な大汝峰の遠望

 次の翠ヶ池は、地形図に名前が載るだけあって大きくて形も良く、色も綺麗なブルー、う~ん美しいですね。

翠ヶ池。光の屈折の関係?からこの色に見えるんだろうけど、綺麗な池だ。

 そのまま池の左をまっすぐ進み、ヒルバオ雪渓に下る道に合流、左に振って大汝峰のコルを乗っ越す。 お池めぐりは道が平坦で歩きやすく快適。 ほぼ全部、大昔の噴火による溶岩流でできた?んでしょうか。

大汝峰への中途、御前峰(左奥)を振り返る。右端は御宝庫と呼ばれている溶岩ドーム 裏側は荒々しい情景だ。
チングルマの紅葉。白く短い毛と長い花柱が美しい。(右)まだヤマハハコが残っていてラッキー。

巨岩、第2号。大汝峰の斜面にどっかり鎮座。突っついたら転げ落ちそうだけど…。

 ここまで40分程。 大汝峰0.6㎞と書かれた道標を横目に100mの登り。 そろそろ疲労が出始め、ちょっときつかったですが、割とあっさり石垣で囲まれた大汝神社に。 やや古びたお社はこれまで凌いできた風雪を感じますね。

大汝峰山頂標識 と 石垣の中の大汝神社お社。清浄で静謐な空間。

 で近くにもう一つ、石垣が。 なんや?と寄ってみたら、避難小屋。 緊急避難以外使用禁止って、まぁ本来、そういうもんだけど…。 錆びたシャベルが何本も放置され、ふっとここ(加賀禅定道)の冬の厳しさを垣間見た思い です。

もうボロボロだった緊急避難小屋を囲む石垣 と ミヤマダイコンソウの紅葉、少しづつ秋が。

 全く色のない五色池や百姓?池を過ぎ、ちょっと登ったら、お目当ての千蛇ヶ池が湖面に雪をたたえて現れました。 案内板に開山の泰澄大師がどうしても言うことをきかない千匹の大蛇を万年雪で封じ込めたとあり、もし雪が融けたらすぐ上にある御宝庫(ごほうこ)が崩れ落ちて補うと伝えられているとか。 でも昨今の温暖化で、万年雪は湖面に浮いていました。 御宝庫(どう見ても溶岩ドーム)、果たして崩れ落ちるんでしょうか。

半ば氷と化した雪渓の浮かぶ千蛇ヶ池 と 御宝庫(左上部)ほんとに崩壊してもおかしくない?
ここからは巨岩特集で~す。三角錐集合体に宇宙船もどき。まぁどうしてこんな造詣が可能なんでしょう。
これも押し出された溶岩の成れの果て?(右)崩れかけた巨岩、バックは剣ヶ峰ではありません、念のため。

 15時、室堂に戻る。 同じルートの往復はもったいないので帰りは五葉坂、黒ボコ岩経由を使う。 這松の間を縫う緩い下りも道は火山独特の大石交じりのボコボコ悪路。 ひっきりなしに登ってくる室堂泊の方々はもう青息吐息でした。

五葉坂から弥陀ヶ原を望む。左の木道がエコーライン、右は黒ボコ岩への木道だ。

 エコーラインとの分岐を過ぎ、木道をトコトコ行くと、急な下りになる十二曲りのすぐ手前に黒ボコ岩が。 真ん中が窪んでいるからですかね、いわれは知らないんですけど。 でも眺めはいいだろうなぁと、もうガスで視界は限られてましたが…。

黒ボコ岩。あの傾斜が岩の上でくつろぐのにちょうどいいらしい。面白い岩だ。
走るガスにけぶる十二曲りへの石畳道。滑って始末が悪かった。(右)コケモモの実、これも大切な秋の味覚。

 あとはもう坦々と歩を進め、天場に16:40着。 出発時よりテントの数が倍増、若い人とお年寄りが1:2と頑張ってるなぁと感心。 それにここは美濃禅定道、天場やトイレ、水場も整備は大の◎、快適な夜を過ごせました。 

別当出合の方角に沈みゆく夕日。圧巻の夕焼けでカメラ&スマホのシャッター音がしきりに。

(第2日)

 朝7時過ぎ、天場を後に、まさに秋晴れで越前禅定道の稜線が青空に映える。 

越前禅定道(観光歩道)の稜線が青空に浮かぶ。爽やかな朝ですねぇ~。

 期待した紅葉はいまだの状態だったけど、気持ちの良い山歩きだった。 もう下るだけで、目につくお花だけカメラに収めつつ行く。 

南竜ヶ馬場全景とミネカエデの黄葉、遠く別山(手前は油坂ノ頭)を望む。

 別当出合への最後の下りはルートが下り専用道になっていて、これが大きく迂回。 なるほどそれであのコースタイムだったのねと納得。 お花が結構残ってて、それはそれでよかったのだけれど…。

左から ノコンギク? に イヌヤマハッカ?、オカトラノオ。
続いて、左から アキノキリンソウ、アキギリ に 恐らくシャクと思われる白いお花
左から トリカブトの一種 に タムラソウ?かなぁ、 最後はヤマブドウの実。ジャムが美味しいんだよね。

 別当出合から御前峰を往復するコースは、石畳状に整備された道と土に石ころのザレ道、大石交じりの火山道とパターンがいろいろある。 さすが登山者の多いポピュラーなコースと思ったけれど、逆に人の足で岩が磨かれて、特に石畳道は滑る、滑る。 ここはトレッキングポールが必須(特に下り)ですな。 天場やトンビ岩ルートの快適さ、お池めぐりの楽しさは素晴らしく評価は変わらないけど、登山道が一番危ないという、ある意味、怖いお山でもありました。

ナナカマドの紅葉と御前峰を遠望する。よい山旅でした。

 

越前・荒島岳  ― なかなか行けなかった北陸の名山を歩く ―

豊穣のお山を象徴する、素晴らしい山毛欅(ブナ)林をゆく。静寂の絶景というべきか。

 いったい何年越しになるのだろう、やっと念願が叶ったというか、本来はもっともっと早くに登っていたはずなのに…。 そもそものはじめは、学生時代。 夏合宿を終えて帰省途中に登る予定で北陸廻り。 が、たしか台風かなんかの大雨で鉄道が止まってオジャンに。 社会人になってからも数回計画したけれど、運が味方せず…。 お四国からはホンマ、近くて遠いお山だった。

概念図

 朝6時、標高350mの中出(なかんで)登山口駐車場を出立、良い天気だ。 熊出没注意の看板を横目にピーピー笛を鳴らして歩く。

早速出てきましたツリフネソウ、紅紫が美しい。 う~、葉から判断するとツリガネニンジンですかね?

 いゃ看板なくともこの雰囲気、絶対いるわ、それも近くに。 林道終点までは傾斜のきつい、広いところでも幅員1.5mほどの石ころ道をほぼ真直ぐ進むけど、周りは背丈ほどの雑草&芒が生い茂り、どこから「こんにちは」されても不思議じゃない。 まぁ怖くはないけど…。

木の根と石ころだらけのアプローチ道 と ひっそりと路傍に咲いていたアキチョウジ

 途中、根元の皮をはがされた杉の横を通過。 どう見たって犯人は熊だよね、恐らく白蟻か何かを食べたんだろうけど。

ばっさり皮をはがれた杉の木。これだけ広範囲を一度に剥がす力のある動物は熊だと思うんだけど…。

 1時間程、アプローチにしてはちときつい道を進むと、やっと標高550mの林道終点に着いた。

林道終点。付け足しのように黄色い看板の右上に荒島岳登山道とある。

 林道といってもかつてで、今は草茫々。 とても車は走れそうもない。 ずっと杉の植林帯の中を歩いてきたけど、この辺りから少しづつ山毛欅が出てくるようになり、路も山道らしくなった。 ここが実質的な登山口だろう。

やっと山毛欅の例の白い幹を拝むことができるように…。心落ち着きますな。
アキギリかオオアキギリか判りません…。 トリカブトは確かなんだけど、これも細分類は難しい。

 路はややジグザグを切りながら、それでも真直ぐの登りで、いきなり急登があるよりはまだしも、そう楽な道ではない。

総苞の形や先が鋭くとがっている特徴からアザミ類ではなくヒゴタイの仲間だと思うんだけど…。

 根元の皮をはがされて立枯れした杉を何本も見ながら進む、立枯れに生えたスギヒラタケの、その白さが却って薄気味悪い。

スギヒラタケ、以前は香も味も良い食菌といわれていたが、毒があるらしい。と 熊と思われる足跡。不気味!

 8時、山頂まで3.5kmのでっかい木製道標横を通過、この道標は◎。 標高(985m)が書いてあって、山屋にはすごく有難い。 1時間で450m稼いだ計算になり、なかなかよろしいペース。

案内標識に標高が入っているのは極めて珍しい。高度が判るのは登山者にとって大きいのだけれど。

 周りは山毛欅の純林帯に近く、朝の光が斜めに樹間に入って、ほっこりと気分が和らぐ。 この辺りから右に水平トラバース。

クルマバハグマだと思われる個体。お四国にはなく、初めて見た。いやぁ~ラッキー。

 2.5万地形図で見るより距離が長く感じたけれど、巻き終えてさらに100mほど高度を稼ぐと「ひえ畑」の道標が路傍に。 やや平らな感じの場所で、その昔、焼畑でひえを栽培してたのかなぁ、面白い地名だ…。

右下に「ひえ畑」の白い杭と標識が…。 百名山のブラック面を示すオーバーユースのへこんだ登山道

 標高1,000mを超え、これで荒島岳への主稜線に乗ったことになる。 小荒島岳(1,186m)まであと少しだ。

こんなところにたかりの名人、シオガマギクが。 (右)う~、ソバナだと思うんですが…。

 9時少し前、分岐にザックを置き、カメラだけ持って小荒島岳へ。 5分弱で絶景が待っていた。 荒島岳は、バックに山塊がなく、右肩上がりの山容も申し分なし。

いやぁまさに絶景とはこういう景色なんでしょうね。快晴にも恵まれてマッコト素晴らしい。

 つまり、カメラ写りの良いシチュエーションで、こりゃ誰でも撮りたくなるし、褒めたくもなる。 遠く白山に別山も遠望出来、とぼけた感じの案内板もよく効いて、しばし堪能させて頂きました。

荒島岳から遠く加賀白山を望む。別山と美濃禅定道の稜線が続き、大きい。

 この眺めを味わうために小荒島だけに登ってくる人もいると聞いていたけど、こんな幸せな前衛峰、ほかにないでしょう。 納得の山頂でした。 

 分岐からしゃくなげ平までは20分程の緩いアップダウンだけど、このお山の一番美しいところだと思う。 山毛欅のほぼ二次林の中に大木に近いものも散見され、稜線を縫うようにしっとりと落ち着いた路が続く。

山毛欅のほぼ純林帯。二次林のようでまだこれからだけど、美しい。

ぽつんとあった比較的大きい山毛欅。苔類の付着が少なくて、白い幹肌がやさしい。

 植生の豊かさがこの時期でもはっきりと判り、花の季節の5,6月頃はもっと素晴らしいだろう。 熊さんもいなかったし…。

秋の山毛欅林といえばこれでしょう、路傍の倒木にナメコ、びっしり生えてました。

 しゃくなげ平は、もう少し広い場所と想像してたけど、当てが外れる。 赤土丸出しの殺風景な場所で展望もなく勝原(かどはら)からの登路の合流点というだけの場所だった。 それでもずっと歩き詰めだったので、10分程、行動食休憩を取った。

灌木に囲まれて見通しも風も入らないしゃくなげ平。道標が所在なげに…。

 5分程、下ると佐開集落からの登路と合流。2.5万地形図は位置が違っているようだ。 よくあることだけど…。

佐開コースと中出コースの合流点。下り気味のまあまあ広い場所。

  と思ったらすぐ急登に。 それも痩せ尾根ではっきり言って岩交じりの悪路。 はぁ~これが最後の難関? もちがかべ(壁)ですか。 ロープに鎖、木製階段に土止め杭を施した岩と土の滑りやすい道。

もちがかべって面白い名前だよね、どこにも道標はなかったけど、極め付きの悪路ですな。

 おまけにどうも工事中らしく、ヘルメットやボルト、ハンマーが散らばったままの工事現場も、人だけいないのが不思議。

こんな石交じりの急登もあります。すぐ横にヘルメットや真新しいボルトも。写ってないけど。

 途中で、勝原から登ってきましたという若い男の子3人連れとすれ違い、少し話す。 その先に小荒島が望める場所が一ヶ所だけあって、ラッキーと1枚パチリ。

結局、小荒島岳(一番高いところ)を望めたのはここだけでした。あとは樹林が邪魔をして…。

 すぐ岩交じりの急登にまた戻り、上がらない足を無理やり上げて凌ぐ。 30分ほどでここを通過。 なるほどこりゃ酷いとこだわと一人ごちっていたら、ポッカリ前荒島に着いた。 頂上まで500m、でも標高1,400mの方が嬉しい。 あと100mちょっとなら20分程で稼げるわ。

前荒島、標高1,400mあと少し。道が格段に良くなった (右)ホコリタケに似てるけど、あんた誰?

 下山してきた若い女性の単独行の方とつかの間話す。 やはり勝原からで「山頂は誰もいませんよ~、よかったですね~。」とじじいに嬉しい一言も。 わかってらっしゃる。 トーテムポールのような中荒島岳(1,420m)の道標をやり過ごし、根曲りタケの密生する中を一気に進む。

荒島岳の道標、こんなでっかいのどう持ち上げたの?(右)遠く大野市街を望む。

葉っぱは山毛欅でも、紅紫色の実は山毛欅の実ではありません、テングノコヅチかなぁ~。

 荒島大権現のお社の屋根が見えたなと思ったら、山頂だった。 10:30、登り始めから4時間半でやっと北陸の名山に。 じじい長年の宿題が解消した瞬間は、意外と何も感慨はなく、安堵の方が大きかった。 やれやれ。

遠く白山をバックに定番の荒島岳山頂。 (右)かつてはやった山頂から見えるお山一覧台

 ここも白山御前峰同様、一等三角点。 まぁ当然でしょう、このお山の風格からすると…。

山頂に鎮座する荒島大権現のお社、あまり傷んでなかった。(右)一等三角点の石標柱

 昼食後、稜線沿いに新下山コースという、真新しい刈払い道を10分程行ってみたけど、何もなかった。奥荒島岳とか、なにかあるかなと思ったけれど。

新下山コースの稜線中途から本峰を振り返る。アキアカネが乱舞し、山頂はまだ夏?
山頂にまだシモツケソウが残ってました。そしてトリカブトも。夏と秋が同居ですね。

 ちなみに、下山コースって変やなと思っていたら、下山集落に降りて行く道の意味でした。あははと苦笑いしながら山頂に戻り、荷物をまとめて下る。14:30、駐車場に戻り、正真正銘、下山。

行きは咲いていなかったリンドウ と あでやかなアキノキリンソウ、ここはもう秋。
名前は特定できないけど、キノコさんにも一杯お会いしました。

 駐車場のベンチで冷たい足水(お湯でないけど、気持ちいい。)でゆったりと寛がせて頂きました。 熊さんにも面会せず、まだ残っていたお花類も楽しませてもらって、まさに豊穣のお山と言っても過言はない、よい山旅でした。

ひねもす 山歩き ショートショート ⑰ きのこ 赤バージョン

 きのこは、秋に限ったものではないけれど、じじいには、やはり松茸のイメージが…。 子供の頃は裏の松林で採れましたが、今はさっぱりいけません。 でもお味は初茸(ハツタケの方がよろしかったですな。

 で、念のために申し上げておきますが、小生、きのこはわかりません。 ここで書いている茸名は恐らくそうではないでしょうか という前提、正確さという点では疑問符がつきます。 

 さて、赤色というと、お読みになっている皆様方のこうべには、なにが浮かぶのでしょう。 まずは、タマゴタケから行こうと思うのですが。

タマゴタケの幼菌、堂々たる真っ赤で吹っ切れてるし、それに可愛いですねぇ。(石鎚山系・黒森山)

 お山を歩いていて、これだけ透き通るような赤色を持つ茸はそうはありません。 幼菌の白い膜のような袋と赤い傘のコントラストもホンマ、綺麗ですよね。 で、よく似ているベニテングタケとの違いは、傘にはっきりと放射状の溝線があること。 

小さいながらも明瞭に溝線が浮き上がり、すぐにタマゴタケと判る。(巻機山

上越国境・巻機山で撮影したこの子、広葉樹林帯の枯葉の中からモコモコと顔をのぞかせ、うっすら溝線に枯葉のお帽子もなかなかお似合い。 こういう茸にお会いするとなぜかほっとしますよね。

傘直径10cmを超える、巨大なタマゴタケ。 いやはや、ここまででかいのはさすがに今まで…。(皿ヶ嶺

 お次は、ベニテングタケ。 真っ赤な傘に白いつぶ、砂糖菓子をまぶしたような、いかにもメルヘンチックな茸。

登山道脇にボッテリと立ち尽くすというか、もう少し生え具合、なんとかならへんかなぁ。(池山尾根

 中央アルプス池山尾根の白樺林で撮ったものですが、時期がちと遅くて白いイボイボ(鱗片)が薄くなってました。 

ベニテングタケの幼菌とややくたびれた成菌。 幼菌は白い鱗片がなければタマゴタケそっくり。 (同)

 白土三平氏の「野外手帳」によると、信州東信地方では別名「はえとり」といったらしく、毒成分イボテン酸(アミノ酸の一種で美味)でハエはコロッと参るようで。 その昔、この山国では、茹でて塩づけにし、3か月程置いてから調味料として使ったとか。

 

 三つ目は、辛みが強くて食べられないらしいですが、名前には毒がつく、ドクベニタケ。

立姿も色合いもすっきりしていて、美味しく食べられそうなんですがねぇ…。(尾瀬・沼田街道)

 お山を歩いていると夏から秋にかけて必ずと言っていい程、お会いするポピュラーな茸。 お四国にも一杯あります。

きのこがこんにちはと言ってるみたいな、枯葉のかぶりよう。(尾瀬・段小屋坂)

 尾瀬・段小屋坂で撮ったのですが、やや赤味の薄いタイプみたいでした。 環になって生える様はなかなか美しく、欧州ではフェアリー・リングor 妖精の踊り場 などとおつな名前が付けられているようで…。

こちらは綺麗な赤色で、親子連れのような、ほほえましい生え具合。(同)

 最後は、傘も柄も真っ赤というより赤橙色のアカタケ。 でも、実物をご覧になった方は少ないかも。 どことなく異形で、じっと見てると少し気味が悪く…。

どこかしら変で、なんか欠けてるというか、自ら毒ですよと言ってるような印象(皿ヶ嶺

 スギゴケの生えるような日陰の湿気の高いところがお好きらしく、お四国・皿ヶ嶺の普通の山道脇に当たり前のように平然と。 でも、翌週通るともう影も形もなくなってました。 昆虫類に食べられたのでしょうか、それとも兎さんは毒茸の解毒力持ってるから食べられたかな? まぁ、見るからに毒々しい(実際、毒茸です)ので、まさか人が採って行ったりは…。