寒風から笹ヶ峰へ ― 末枯れの稜線&南稜プチ・バリエーションを行く

霧氷と遠く西黒森と瓶ヶ森・雌山を望む 天気だけは素晴らしかった 2月中旬、毎年恒例とはいえ、ここまで皆目雪のないのは記憶にない もはや、一足早く春山も盛りに…だ 桑瀬峠登山口は、道路に書かれたUFOラインの字がくっきり 地肌丸出しで、とほほ…の気分で登り…

ひねもす 山歩き ショートショート ⑩ ー 岩仙洞草

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正面から見たイワセントウソウ まるで白い線香花火を見ているような… みるからに華奢としかいいようがない。 高さ10cmもない小さな体に極細の茎、白色5花弁のお花も超ミニサイズ。 出会ったのは、アケボノツツジやミツバツツジ咲く広葉樹林帯、やや日陰の路傍。 この年お初の山毛…

ひねもす 山歩き ショートショート ⑨ ー ニホンヒキガエル

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ガサゴソと笹藪から姿を現したやや茶系統の個体。中くらいの大きさ かな? お山でお会いする動物では、頻度が御三家に入るのではないでしょうか。 もっそりと笹藪の根元などから突如現れて、人間どもなど、どこ吹く風の独立孤高のお方。 歩いている足元が急に…

毎年恒例 鎚年始参り 

夜明し峠から霧氷輝く石鎚山稜線(左から2番目のピークが天狗岳)と右端に北岳を望む まさに絶景❕ もう何回目になるか、数えたこともないけど今年も1月2日がめぐってきた。 毎年恒例の鎚年始参り。 例年、お四国はお正月に雪は多くない。本格的に積もるのは1月…

ひねもす 山歩き ショートショート ⑧ ー フクリンササユリ(覆輪笹百合)

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毎年7月文月の頃になると、庭仕事をしていてもなんとなく落ち着かない。どこかふわふわして気もそぞろ。そう、どうもこのお花が一因のよう。 近場にある低山は、中四国のお花の名山と言っていい存在で、早春のスプリング・エフェメラル(春の妖精)、そして春本番と山…

ひねもす 山歩き  ショートショート ⑦ ー オオミズアオ

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初夏、近場の低山でお花を撮り終え、薄暗くなりつつある沢筋の道を急いで下っていたら、瞳の隅に明るいエメラルドグリーンが一瞬走った。そのまま通り過ごしたものの、日ごとに色濃くなる新緑の樹林帯では明らかに異様な色。足を止め振り向くと、細い枯れ枝になにか…

晩秋の石見・三瓶山周回行 ― 行く秋を楽しんだ陽だまりの山旅 ―

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楓紅葉の中を室の内池へ続く、気持ちの良い笹道を行く 朝6時過ぎ、なんとか足元が見える頃合いを見計らって朝寒の東の原駐車場を出発する。 おおよそ百台は大丈夫だろうと思われるこの駐車場、雪の来ていない今はガラガラで、登山口すぐ右の観光リフトも二人掛け…

中九州・秋の一人旅  ― 久住・阿蘇に遊ぶ ―

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一面の芒ヶ原を扇ヶ鼻分岐へ 星生山稜線のギザギザが美しい お四国から近くて遠い、九州。 四辺が海に囲まれたお四国は、本州と橋でつながるまではフェリーで海を渡るのが定番だった。お若い方にはチンプンカンプンな宇高連絡船が懐かしい方もいらっしゃるだろう。 今…

ひねもす 山歩き ショートショート ⑥ - コウヤボウキ

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漢字で書くと、高野箒。 お花の名前に「箒」がつくなんて、なんとも変わった名前だなぁと。そうは思いませんか? お花自体は、枝の先にぽつんと一つだけ。 2㍉くらいの薄いピンクと白の少花の集合体みたいで、花冠の地が淡い薄紅色。 じっくり見ると、その薄紅…

ひねもす 山歩き ショートショート⑤ ー ノササゲ

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淡い黄色の小さな雪洞が空中にふわっと浮いて、風に揺れてる。 散策を終えて、車を止めた場所までノコノコ車道を帰っていたら、一風変わった景色に遭遇した。 はぁ? この白昼にキツネの嫁入り? そりゃ、もう秋の結婚シーズンだけど、化かされるにしては明るすぎるよ…

寒風から笹ヶ峰へ ― 笹南稜のプチ・バリエーションに遊ぶ

寒風山頂から石鎚方向の大雲海を望む ー 目ぼしいお山はお隠れになって、右隅にわずかに西黒森が覗く… 9月下旬、まだまだ夏の高気圧さんが強くて、なかなか涼しくならない中、快晴の予報につられ、このコースをお久しぶりでトレースした。まぁ、無雪期だし、計算も…

ひねもす 山歩き  ショートショート④ - ツチアケビ

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ツチアケビ(土木通)。 お山で出会う、葉緑素を持たない風変わりな植物としては、ギンリョウソウ(銀竜草)とともに双璧をなす植物でしょう。 本稿をお読み頂いている皆様も一度といわず、ご覧になっているのではないでしょうか。 なんでも、別名をヤマノカミノシャクジョウとい…

ひねもす 山歩き ショートショート③ ― ナツエビネ

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全国の里山から山野の落葉樹林帯が生育ゾーンとなっているエビネ属は、細身の花茎をすっくと伸ばし、総状に多数のお花をつけて凛々しい立姿だ。 それになんといっても、花もちがよいし、バリエーションも多くて、その変化がなかなか楽しい。 でも、そのほとんどは春開…

ひねもす 山歩き ショートショート② ー スズコウジュ

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このところ、お山は午後になると雷様がゴロゴロとお出ましになることが多い。 とある一日、時折、青空も覗いて今日はなんとか天気が持ちそうだと、ノコノコ出かけた。 じじいには今年の猛暑は体に堪え、耐えかねて…もある。 原生林帯に入れば、もう雷様はあまり関…

ひねもす 山歩き ショートショート① ー ヒナノウスツボ

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先日、東予地方のとあるお山に日帰りで登ってきた。 平地では晴れていたけれど、お山は良くなくて、ガスが走ったり、小雨が通ったり。 しっかり降ればそれなりに気持ちも締まるんだけど、体が濡れるか濡れないかの微妙なところ。 暑いので、雨具上下の着用は…

お花畑の北ア・針ノ木~七倉を行く (後編)

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遠く雲海に浮かぶ槍ヶ岳を眺めながら、蓮華の大下りを行く 10時前、下降開始。 延々と重なる岩屑の斜面にコマクサ群落が張り付いて、灰白色のモノトーンをバックにおぼろげなピンクが点々と浮かび上がる。 美しいのかな? あまり本邦では見られないであろう、絶景には間違…

お花畑の北ア・針ノ木~七倉を行く (前編)

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7月19日(水) 扇沢→針ノ木雪渓→針ノ木小屋 針ノ木雪渓の末端部 もう到底、雪渓を歩けるような状態ではなかった 早朝、ウイークデイということもあるか、まだほとんど人の列がない扇沢ステーションを横目に見つつ、自然歩道入口で届を提出。すぐ灌木帯の緩い登りが始ま…

剣山系・一ノ森&お亀岩焚火山行 -お久しぶりのお泊りも-

雨の多かったGWは、あまりお山には行けず。それでも3年ぶりに笹倉~冠岳を歩き、相変わらずのブッシュと倒木だらけの踏分け道に苦戦してきた。 齢、古希越えの身、いささか疲労も取れにくくなって、しばらく皿ヶ嶺で新緑の原生林とお花散策に時間を使って休養さ…

山笑う、南九州一人旅

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2022~23年の冬もウロウロと石鎚山系をさまよっていたけれど、じじいの旅の行き先はもう定番化していて、お読み頂いている皆様方には読み飽きたコースばかり。 で、リフレッシュと長年の酷使に耐えた膝の養生も兼ね、しばらくお休みさせて頂いた。 しかしながら、菜の花が…

天空の峯 UFOライン 自念子ノ頭に遊ぶ

自念子ノ頭山頂から石鎚山系のスカイラインを望む 紺碧の空が美しい 石鎚山系の主稜線を走るUFO(雄峰)ライン。 某自動車会社の宣伝に活用され、SNSでも「天空の道」としてUPされたけれど、正式には、高知県いの町の町道瓶ヶ森線。 もちろん冬季は閉鎖されるけど、スリ…

雪化粧の瓶ヶ森から菖蒲峠へ  早い冬の訪れとなったクラシックルートを行く

霧氷輝く台ヶ森ピーク 一瞬の晴れ間だった 東之川(標高550m、以下同じ。)から登るのはもうかれこれ、五十年ぶりくらいか。随分とご無沙汰で、以前歩いたのが、東之川新道(幾島新道)だったか、今日歩く旧道だったか、もう記憶も定かでない。たしか、氷見二…

御来光ノ滝、秋深し  残る秋を楽しんだ秋日和の一日

美しい照葉の楓紅葉、よく残っていてくれたと感謝である 早朝7:40、漸寒の長尾展望台に車を止めた。 週末、快晴の石鎚スカイラインは紅葉狩りの車がひっきりなしで大賑わいだ。今日の目的地、御来光ノ滝へは、最近はもう、ここから大昔の堰堤工事の際につけられた…

北緯45度 最北の孤峰 利尻富士(利尻山)を行く(後編)

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鴛泊ルートの下山途中、雲海が切れて正面に礼文島が浮かび上がる。いゃ~見れて良かった 親不知子不知の先は、せり出した岩壁の下をトラバース気味に20m程下る細い道になっていた。山頂に向かって一気に高度を上げるのではなく、崩れやすい岩稜帯を避けて、草付きを…

北緯45度 最北の孤峰 利尻富士(利尻山)を行く(前編)

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車窓から遥かに利尻富士(利尻山)を望む。 あぁ、やっと来れた。 離島のお山といえば、南は九州宮之浦岳(1,936m・屋久島)、北は北海道利尻山(1,719m・利尻島) が両雄で、この二つが標高では全国1、2位を占める。 2017年春に訪ねた南の九州屋久島は、洋…

仲夏の東赤石山 ― 高嶺薔薇のピンクを愛でに法皇山脈の最高峰へ

ロックガーデンから見上げる、雲走る八巻山 爽快の一言。 もうすぐ半夏生という一日、じっとりと汗ばんでくるこの時候は、石鎚山系とは地質も植物も異なる、このお山の出番だと思う。お山全体が超塩基性の橄欖岩や蛇紋岩で構成され、マグネシウムを含んで植物の生育に…

初夏、西ノ冠岳のお花畑へ ― 青葉若葉の面河道を楽しむ

お庭場への笹道から見上げる怪異な風貌の石鎚本峰。もう鮮やかな夏雲だ。 芒種も過ぎて、6月も中旬になろうというこの時候、遅まきながらやっと梅雨入り発表も出たが、もう既にはしりはしっかりと。梅雨晴れを狙って、たまさかのウイークデイ、久しぶりに面河裏参…

春再訪 筒上・境界尾根から笹倉へ ― アケボノツツジと雪洞山毛欅の新緑を味わう山旅

今回の山旅のメインである、宙に浮きあがったような枝ぶりのアケボノツツジの古木 前半はぐずついたGWも後半は高気圧の帯にはまって快晴が続く予報。この機を逃さず、八十八夜の2日(月)、アケボノツツジの可憐なピンクと萌え出る新緑をお目当てに1年半ぶりにこのコースを歩く…

皿ヶ嶺 ― 里山歩きの楽しみ

霧氷輝く、3月の面白嶽 1年前(2021.4.17)、「皿ヶ嶺-冬春夏秋」と題して、このお山(以下、愛着を込めて「お皿」という。)の四季のあらましを紹介させて頂いた。お四国の花の名山となれば、どうしてもお花中心にならざるを得なかったけれど、実はそれ以外…

寒風から笹ヶ峰へ ― 厳冬期のお楽しみ、待ちに待った白銀の稜線を行く

冬晴に霧氷輝く稜線を行く 今冬は、久しぶりに雪が多い年なのかもしれない。北の国では、最近この雪を夏の省電力等に活用する例もあるらしいけれど、多くの方々にとっては依然厄介者。本年は大雪で、恐ろしいホワイトアウトも発生するなど、上越魚沼地方の半端ない…

ちち山から笹ヶ峰周回  ―  深雪晴の一日、冬木立と雪の稜線を楽しむ

雲ひとつなし、寒風山~笹ヶ峰の稜線を望む お正月は恒例、鎚年始詣でを再開。昨年はコロナ禍で初中止の憂き目にあったけど、今年は成就であるはずの登山届綴が行方不明でウロウロ、霧氷も雪量も雀の涙にも、もう慣れっこに。アイゼン付けて雪のない木道を歩かざるを得…