稲叢山 ―少しだけ早かった大山(深山)蓮華― 

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大山(深山)蓮華

 6月も中旬というに、未だお四国は梅雨入りせず。 けれど、山屋には雨がないのは有難い話。で今回は、県境を越えて高知県稲叢山(1,506.2m)へ。

 この時期の名花、大山蓮華をチーム五名で観賞に行ってきました。

 長さ5.4kmの寒風山トンネルと本川トンネルを抜けると、いよいよ稲村調整池への急こう配の曲がりくねった舗装道です。標高1,400m程まで登って稲村トンネルを抜けると直ぐ左横が駐車場とトンネル南口登山口。既に5台。先着の方々の姿はもう見えず。

 9:00出発。曇で涼しい中、少し調整池方向へ下り、林道分岐登山口から登り始め。いきなりの植林帯の急登を20分程頑張ると林道分岐の広場へ。ここから四差路という、四つの登山道が交差する分岐点まで15分ほど。驚くほどあっけなく9:35には着いてしまいました。

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四差路(手前に2コース登山口あり。)

 少し涼んでから稲叢山頂へ出発。古くから登られているお山なので道標にも迫力があります。比較的勾配の少ない、広葉樹林帯の曲がりくねった道すがら、葉緑素のない植物銀竜草の団体さんにもお会いしました。

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古い道標

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銀竜草葉緑素がないので人の目には白く見える。)

 10:20山頂に到着。少しガスが走っても展望は良好。直前に先着の15人ばかりの団体さんに山頂を譲って、我々は稲村調整池が見渡せる奥の岩場へ抜け、そこで30分程大休止。カイナンサラサドウダンと並んで、岩場の陰にはキバナウツギ?でしょうか、黄色い花が。

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ガス走る稲村調整池

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キバナウツギ?

 戻った稲叢山頂の北西面は切れ落ちた岩壁、おおこわ。でも途中のテラスは気持ちよさそう。この時は遠く大橋ダム方面も望むことができました。

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稲叢山頂の立派な祠

 

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切れ落ちた岩壁と大橋ダム方面

 ここから先の行程を相談し、四差路へ一度戻って西門山(1,496.7m)をピストンし、トンネル分岐という名のコルから駐車場へ下ることに。トンネル分岐までは緩い下りの特徴のないザレた道、ブナを中心とした新緑が見事です。12:20コルで皆思い思いのお昼。風が通って気持ちがよく、少し寒いくらいでした。

 西門山へは片道1時間ほどの行程で、別名、大山蓮華街道(勝手に名前つけてる。)。鉄塔管理のS電力さんもこの木のことは判っていらっしゃる(有難うございます。)らしく、鉄塔横の木は伐採からしっかり残して頂いてました。

 今日はまだつぼみが多く、四分咲きくらいですか。それでも並の花と違って気品が…。

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さすが茶花として珍重されるだけのことは…。

 どうも稲叢山から西門山の一帯は、そこかしこに大岩がある一連の岩峰群のようで、往復とも、「大岩」という岩峰群の割れ目を通ります。アケボノツツジシロヤシオ、大山蓮華等の花木とブナやヒメシャラ等の広葉樹林が岩に張り付いて混在しているのが実態のようです。 途中、ヒグラシ?の抜け殻などを楽しみながら、着いた西門山はうっそうとした樹林帯の中の山頂、展望は全くありません。

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時期的にみて、ヒグラシの抜け殻?

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西門山頂(山頂というより丘です。)

 でも、ブナの枯れ木が倒れ、一画だけ日差しが差し込んでいました。倒木周辺には見当たらなかった、ブナの幼生は山頂手前に1株だけ。代替わりは果たしてうまくゆくのでしょうか。

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ブナの幼生

 15:00過ぎ、深さ88mロックフィル式の稲村ダム(調整池)まで車で見学(無人)に寄り、帰路に。

 高貴な女性を彷彿とさせる大山蓮華の白い花が強く印象に残った山旅でした。