ツガザクラ観賞山行(銅山越)

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ツガザクラ(ツツジ科) 分布南限に位置し、2019.2.26 国の天然記念物に指定。

 2019.6月上旬、いつものお山のグループ6人で銅山越(1,294m)まで往復した。目的は、本来ならば2,000m級以上のお山で咲く花である、ツガザクラである。

 旧別子山村日浦登山口を出発時は曇だった空模様は、小1時間も歩くと霧雨状に。傘を差してのんびりと、適当に微風も吹いて涼しい山歩き。旧別子銅山の小足谷接待館や同劇場跡などの産業遺跡群を一つひとつ味わいながら散策をかねての登りとなった。

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小足谷劇場跡

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劇場跡等の古い案内板

 ダイヤモンド水に着いたのが9時半前。早速、住友金属鉱山㈱の寄付メインで2015年に設置されたバイオトイレを確認に行く。自転車で漕ぐところが実用的で設計者の遊び心を感じる。東屋で一服し、水を補給。水源奥の苔むした石積みの前に葉の特徴からキレンゲショウマではないかと思われる植物の一群が。 誰かが移植したのであろうか…。 

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谷に今も架かる石積橋

 標高も1,100mを越えてくるとさすがに少し風が出てきたが、それとともにアカモノ群落や目的のツガザクラが登山道わきに散見されるようになってきた。時期が遅くて、ツガザクラは少し盛りを過ぎていたよう。それでも独特のカップ状の花は気品があって麗しい。 

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アカモノ(ツツジ科)丈20cm程、秋に赤い実をつける。

 と、すぐ横に笹葉銀蘭があるではないか。白いつぶらな(?)上品な花を載せて。以前、石鎚山系笹倉谷で探し回ってやっと数個体撮れた程度、こんな場所にあるとは…。

 驚いたのは道中到るところに。まさに銀蘭街道だった。残念ながら金蘭は見つけられなかったけれど不勉強を恥じる以上の望外のお土産となった。

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笹葉銀蘭(らん科)丈30cm程

 銅山越の峰のお地蔵さん横にザックをデポして、風の中、雨具着用で保護区に向かう。小雨の散策だったけれど、心なしか以前来た際より数が減ったような気がする。厳しい生育環境だからそれもやむを得ないのかもしれない。

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保護区のツガザクラ

 保護区から新居浜市街が望める展望台(と勝手に名前を付けてる。)では、東平から下界は一面の雲海で、見えない方が趣が感じられた。雲海もなかなか良いものだ。

  ザックデポ地点に戻ると少し降りが強くなったので、そのまま歓喜坑の休憩所まで滑りやすい道を一気に下る。女性が多いパーティの都合上、申し訳なかったけれど避難小屋を雨宿りにお借りした。古材ながら簡素、がっしりしたつくりで、関係者の心意気を感じさせる小屋だった。この場をお借りしてお礼を申し上げます。有難うございました。 

 14時半下山。 もう、我々以外は数台しか残っていなかった。終日、傘で歩けたうえに蒸し暑さもなく、銅山の歴史探訪と期待の花類の観賞にはもってこいの天気。それに望外の蘭も見ることができ、得るところが多い山行となった。

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雨に濡れる笹葉銀蘭