剣山系・天狗塚~三嶺

 

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しっとりと落ち着いた峠への登山道

 6月も下旬に入り、1か月先の北ア山行のテストランもあって、久しぶりにイザリ峠から三嶺まで1泊2日で往復しました。R32号大歩危から橋を渡って祖谷・剣山方面へ。途中、京上からR439号に合流、この辺りは走りやすい快適ロードです。今回は東祖谷下瀬で災害復旧工事中のためう回路を使いました。東祖谷小から入り、例の落合集落の展望台がある道です。正式名は、国重要伝統的建造物群保存地区 落合集落展望所 という、長~い名前です。ウイークデイなので他にお客さんはなく、正装の案山子さんたちがにぎやかに出迎えてくれました。

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落合集落遠望

  

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正装の案山子さんたち

 このあと、九鬼で西山林道に合流、有難いことに林道はほぼ再舗装復旧されており、楽しい山道走行ができました。

 13:40登山口のイザリ峠着。先着は1台だけでした。曇天で梅雨入りも近いのか蒸し暑く、下り坂の天候も雨具や登山靴等、雨天時のチェックも兼ねての山行なので覚悟の上。14:15出発です。

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1年2か月ぶりの登山口

 稜線通しの登りは、意外に風もあって涼しく、40分程で1,476mピークに到着。降っては来ないものの、ガスが少し走り出し、だんだん粒が大きくなってきている気がします。

 イザリ峠手前、ミヤマクマザサという笹の一帯に出る直前で先着車の5人パーテイとすれ違い。どうやら天狗塚の日帰り山行だったようで、山頂から峠周辺までガスで何も見えなかったとぼやいていました。ここでついにポツポツ落ち始め、雨具上下を装着。急に強くなった吹上風に押し上げられながら峠まで一気に登り切りました。

 16:00イザリ峠。雨で天狗塚ピストンをあきらめ、本日のお宿、お亀岩避難小屋を目指して道を左に振ります。16:05天狗峠(綱付森分岐)通過、ここから先はちょっといやらしい下り道です。ガスと強風で見通しが良くない中、滑らないよう慎重に。風上側に何か動くものがあるなぁと思ったら、すぐ脇に鹿のつがいが立っていました。向こうも全く気付かず、お互い固まりましたが、次の瞬間には跳ねてガス走る笹原に消えてしまいました。

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お亀岩から今日のお宿の避難小屋

 16:30 お亀岩避難小屋着。久々の感慨もそこそこに、濡れた雨具もろもろを干し、銀マットをお借りして寝床設営、夕食を終えると、後はすることは唯ひとつ。お楽しみの焚火が待ってます。

 高知県が設置する避難小屋には薪ストーブが設置(有難うございます。)されていて、この小屋には立派な大型のストーブがあります。学生時代から慣れ親しんだ焚火も最近は沢登りを除いてストーブを燃やす形式がほとんどで、それすら可能な箇所は限定されているのはお四国も例外ではありません。

 この場所は、豊富な薪を供給してくれ、冬は雪崩から守ってくれるウラジロモミ帯が小屋の背後にあるという、素晴らしい立地条件です。

 焚火は、自分がその日燃やす薪は自分で集め、余った分はストックに回すことを原則にしていますが、今日は雨天のため初めてストック分を使わせて頂きました。火を焚きながら飲むビールは格別、心も十分に温まりました。

 夜半、明るいので外に出ると、雨はすっかりあがり、綺麗な月夜になっていました。いつ来てもお山の月見はよいもので、標高は関係ありません。「岳の月われなきあともかくあらむ」(福田 蓼汀)の句がすぐに浮かんできました。本当は涸沢あたりが似合いそうですが、ここでも全くそん色はないと思えました。

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ガス走る三嶺山頂

 翌日も、曇天気味の天気で7:00三嶺に向けて小屋を出発。ザックはデポせず背負います。7:40西熊山、8:00大タオを登り返した先で一服し、8:50三嶺山頂着。ガスがかかって展望はありません。やや時期遅れで咲いていたコメツツジだけ撮って、あっさり山頂を後にします。

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三嶺山頂、運悪くガスに巻かれる。

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まだ残っていたコメツツジ

 帰りも稜線の美しい笹原漫歩。来るたびに新しい発見があってなかなか味のあるルートです。

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たおやかな天狗塚への縦走路

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途中の白骨林帯

 イザリ峠登山口へ下山するルートは、通常は西熊山から小屋方向に少し下ったコルから右に振って、正規ルートの走る尾根の沢を挟んだ反対側の尾根を下り、途中にあるカエデの大木に挨拶して、駐車場に直接アクセスするのですが、今日は天狗塚に寄るために昨日歩いた道を戻ることにします。

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カエデの大木(2018.4月)

 10:48お亀岩通過。11:15イザリ峠着。高曇りで風はなく、ここにザックをデポ。この先天狗塚の山頂まではゆるやかなアップダウンの趣のある道です。11:40のんびりイワキンバイを撮りながら山頂へ。牛の峯が本当に大きいと何回ここに立っても思うのは何故でしょうか。高知県側のはるか下の笹の斜面では、鹿の一団が笹をお食事中でした。

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天狗塚(イザリ峠から天狗塚へ続く登山道から)

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イワキンバイ

 

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牛ノ峯、いつ見てもあきれるでかさ

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笹を食む鹿の群れ(200mmで一杯一杯)

 山頂で少しゆっくりしてからイザリ峠へ戻り、12:20下山開始。樹林帯に入るまでの道は浮石ガラガラでガラ場歩きの格好の練習台です。

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笹の花が咲いていました。

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この辺りは自然の庭園です。

 3人の家族連れ一行とすれ違うとすぐ1,476mピーク。風が通り、気温18℃と涼しいこともあって、一服には本当に良い場所です。13:25登山口に帰着。どう考えても、雨天時のチェックなどではなく、焚火しに来たとしか思えない山行が終了です。